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2012年3月

2012年3月25日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その4

今回から数回に分けて目に関する処理のお話です。
目は口ほどに物を言うなどと申しますが、実際そう思う事は多々直面いたします。
むろん実際の人のお話ですが、絵画の世界やフィギュアの世界においても全く当てはまるのではないでしょうか。
作品自体を生かすも殺すも、目の表現に掛かっていると言っても過言ではないのかもしれません。

G41

画像1では眼球の白目部分を一度ホワイトにてべた塗りしてあります。
瞳部分も鮮やかなブルーを配し、且つ明るめのブルーにて簡単に若干の虹彩の表現をしてみました。
瞳孔部はオリジナルの黒のままです。
前回の画像とはまた一段と変化してきて生き生きしてきた気が…。
改めて恐るべしは「目」です、ね。

G42

画像2では白目の周辺部分に細かな血管をうっすらと表現。
幼子の様な純白もしくは青みがかった白目は、月日を幾度となく重ねてきた人物にはいかがな物かと。
試しにご自身の目を鏡で改めて覗いて見てください。
夕方以降など一日の疲れもはっきりと眼球に表れてはいませんでしょうか?
ただし、模型の場合には、やり過ぎると…、ご注意ください。
あくまでも真っ白ではない白目の立体的な助っ人的な案配で十分でしょう。
この際、真っ赤よりもオレンジあたりの方が無難です。
使った色で上下の瞼周りも更に強調しておきます。

G43

画像3は画像2の別の角度からのアップです。
徐々にグロさに磨きがかかって参りました(笑)瞳の虹彩部分も更に色調の変化を強調してあります。
虹彩の外周部から瞳孔の中心に向けて出来るだけ同心円状に。
実際の虹彩はかなりウネウネとした波模様の様ですが、1/6スケールではそこまでの要求はされない事でしょう。
もちろんこれ以下のスケールの場合にも、適用します。
あえてチャレンジされるのも素敵かも!

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2012年3月19日 (月)

ゴラム(スメアゴル) その3

さて、ゴラムも3回目となりますが、今回は前回から数過程進行してのご紹介となります。
進行状況も毎回では本当に極わずかな変化ですので、途中をやや割愛しないと解りにくいかも?という事なのですが…。
いつもの物よりも前回レベルとの比較での変化がお解り頂けるのではないでしょうか?
基本的には顔を含めた全身の肌の表現となります。

G31

まずは画像1ですが、全体的に前回の物と比べると色味にメリハリが付き、深みが増していると思います。
そして、大まかではありますが肌の部分部分の色味の変化やシミ等の表現も若干プラスされています。
全体的な色味は前回から数度に渡り、凹部はシャドウ処理(①)、凸部はハイライト処理(②)を施しながら立体感を持たせてあります。
手や足下なども劇中の汚れ具合なども追加。
顔では、全体のシミ表現の追加、目元の赤味や耳や鼻、口元の部分的な赤味の変化なども追加処理。
加えて肌の部分的な黄色味や青味なども必要に応じて追加してあります。
この辺りの処理は、全体的にではなく、ランダムにあくまでムラの有る位の方がリアル感が増すようです。
遠目に離して眺めた際に部分的に目立ち過ぎる場合などは再度色調を落としての調整が必要です。
くれぐれも全体的なバランスの元ではじめて効果がある訳で、やり過ぎには注意が必要です(何事も!)

G32

画像2は全体をグルリと撮影した状態。
作業自体は常に全体を見ながら、時には手元から離して遠巻きに観察する事も必要です。
作り手としてではない第3者的な視点に立って見てみる事も時には有効ですね。
作業中は何かと己の世界観に浸ってしまいがちですから…(笑)
画像の様に作業工程を撮影してチェックしてみるのも現在ではとても意味が出てきます。
作業中には気付かなかった箇所も、こうして画像で改めて見る事で気が付く部分も多々あります。
スケールの小さめの物なんかでは、加工作業でのやり残しや、塗装の際の塗膜の変化、細かな塵やゴミの付着なども発見できるかも。
素敵な完成品には素晴らしい表現力だけではなく、常に周りの物や作品自体にも鋭い観察力が求められるのです。

G33

画像3はお約束の顔のアップ。
前回と比べての細部の情報量がかなり増えているのがお解り頂けますでしょう。
その分ますますグロテスクになってきた、とも言えるのですが…。
次回はこのアイテムの最も重要な箇所、目の表現について、の予定です。

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2012年3月11日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その2

今回からゴラムの実際の塗装の始まりです。
前回は造形に関してはそのまま、としましたが、実はほんのわずかに手を加えてあります。
腿とふくらはぎの密着部分と脚や手の密着部分をほんの少しだけ掘り起こしてあります。
そのままで塗装のみでの表現も全く問題はないのですが、ポリストーンやレジン、ソフビなどの素材の凹部分のモールドは抜きの効率の関係でどうしても甘い物が多いと言わざるを得ません。
特に気になる場合にはほんの気持ち掘り起こす事で塗装した際にも更にシャープな印象になる事があります。
今回は本当にちょこっとだけなんですが…。
さて、塗装はと言いますと、今回の物もオリジナルの色を生かしながらの塗装といたします。
自分のイメージにこだわりたい場合にはサーフェーサーなどの下地処理も有効です。
慣れてきますと、どちらでも特に問題はないのですが。工程上の満足度合いは下地処理をした場合の方が高いかも?です。

G21

画像1では手始めに下塗りも兼ねて肌と同系の肌色を塗ります。
あくまでも次からの塗装における下地的な感覚で、厚塗りにならずに下地の色味が透ける程度の感じで全体にまんべんなく塗って行きます。この際に、あまり塗料を薄めにしすぎると次以降の塗装の際に下地ごと剥がれる危険も有りますので、本当に適度な濃度が求められます。次に今回は一気に茶系の色でシャドウ部の色を塗り込んでみました。
塗り込むと言ってもあくまでウォッシング程度で肌の立体感を早い段階で掴んでしまおうという事なんですが。
このように色を塗り重ねる際には仕上がりのイメージを常に把握できる行程で進める事が自分のイメージに近づける為にも有効だと思います。

G22

画像2は顔のアップ。
まだ前回の画像と比べてもさほどの変化は見られませんが、しっかりと塗られているのです。
それにしても、なんともすっとぼけたこの表情、熱烈なファンの方はそうは居ない事でしょうね?
映画のキャラとしてはとても重要な役なんですが。

G23

画像3は次の段階の塗装です。
茶系で締めた分全体の色調が暗くなっていますので、肌の凸部分に当たる箇所に最初の肌の色よりも数段階明度を上げた明るめの色を塗って行きます。
ひとまずはシャドー部とハイライトが塗られた事で当初よりも立体感が出てきました。
ここで改めてこの後のイメージの色調を考えますと、オリジナルもそうでしたが、ここまでの塗装では単純に肌色を基調の考えで塗っているにすぎません。
ゴラムのイメージとは?と考えると、薄暗い洞窟などで生の魚などを食している何とも動物の本能で生きる存在、しかも既に百年以上もの間こんな暮らしをしているのでしょう。
血色が良い筈が無く、まして日に焼けた健康的な褐色ではない筈。劇中ではCGでの描写である事や、劇中の光源を意識した色に強く左右され、はっきりとした肌の感じは掴めませんが、色白であちこちには吹き出物やシミの後も、傷や汚れもただ事ではないでしょう、きっと。
今後は色々な資料も見ながら、あれこれと想像を巡らせながら進めて行く事になります。
という感じで、画像3では更に全体的に黄色味を加えて塗ってみました。

G24

画像4は顔のアップ。黄色みを加えたハイライト処理ですが、正直、まだまだ手始め段階。
この後どのように変わって行くのかは、正直な所私自身にも?なんですよね〜!(笑

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2012年3月 4日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その1

今回からはちょっと真剣にフィギュアのリペイントの再開です。
何が真剣なのかというと、物が完成品としてのスタチューフィギュアが相手、なのでした。
通常はコレクション的な要素のとても強いスタチュー系、迂闊に手を掛けるのはためらいがちです。
こだわりだすとキリが無いので造形面は手をつけずにリペイントで満足の行く物に仕上げたい、と。
今回選んだのは映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでおなじみの「ゴラム」。
とは言ってもまだ良心の残る「スメアゴル」なのですが。
「二つの塔」のDVDギフトセットとして販売された物のに同梱されていたフィギュアです。
ある意味希少価値が有る?のかも??ですが(笑)
同映画の一作目が公開されたのが2002年というのですから既に10年を迎えようとしています。
そして今年の末辺りには新作の「ホビットの冒険」が公開予定というからまたまた記憶がよみがえって来るという物です。
ゴラムの登場も有るらしいのですが、その辺りはまた別の機会に。

G1

画像1がパッケージ、サイドショーの製品です。
フィギュア自体の底面には何やら関係のありそうな印刷が…。
フィギュアの出来はかなりの物です。それもそのはず、公開に向けて映画の製作スタッフの一人が直接手掛けているとの事。
フィギュア制作には監督のP・ジャクソン本人の指導も有ったとかで、文句の出様が無いのもうなずけます。

G2

画像2はフィギュアの全体ですが、撮影用のライティングのため、やや陰影が強調され、このままでも十分、と言った具合に見えてしまうかも?
実物の肌の感じは若干の色の変化は付いている物の全体的にフラットな単調な仕上がりで、とってももったいない印象。
大量生産としての商品ゆえの宿命、こうして手に出来る事自体がありがたいと思わなければ?かもですが。
近年は出来の良いスタチューや完成品のフィギュアが次々に出ていますが、安くなったとは言え数をこなすにはなかなか経済状態にも限度が有るというもの。
趣味の世界は奥が深い泥沼状態ですが、以前のようにガレージキットなんかももっと精力的に出て欲しいものです。
ちなみにスケール的には約1/6程度と言った感じ。
全く同じポーズの1/1の物も有るようです、是非見てみたいものですね〜。

G3

画像3はお顔のアップ。皺や皮膚のモールドが気色悪いほどに良い出来です。
一つ気になる部分は、後々の塗装を前提の造形ではないため、眼球、特に瞳の部分が凹モールドになっている事。
海外の造形物の場合、彫塑としての意味合いも強かったりする場合が有るために、よく見受けられる処理ですが、この後の塗装の際には厄介な事になる危険が。
今回はモールドには手を付けずに処理する事にするつもりですが、果たしてうまく行きますやら?
よりリアルにする上では髪の毛なんかも削り落として植毛なんて言う手も有りますが、あまりにグロくなってしまいそうですよね?(笑)

今回はアイテムの紹介だけになってしまいましたが、お気に入りのフィギュア選びの際に、好きという事だけではなく、色々な面から検証、考察して行くと手掛ける作品に深みが増して行くという事になるのではないでしょうか。
良い物をより良く仕上げるためにもとても重要な事だと思います。

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