ロード・オブ・ザ・リング ゴラム Feed

2012年5月20日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その12(最終回)

いよいよ、最終回です。やっとかい!?という声もあるかもですが、今回がラストなのです!
約2ヶ月以上もかかった訳ですが、実際の制作は普通に詰めればその数分の一で済んでしまいます。
制作とは言ってもあくまでリペイント、です。
当初のコンセプトや考え方も時間とともに変化してしまう事が有りますので、えい!、やっ!!という思い切りも大切です。
あまり考えすぎて手が止まってしまうと、そのままお蔵入り、なんて経験の方も多いのでは?
出来るだけそうならないで完成に漕ぎ着けるのが理想ですよね。

G121

画像1は完成の全体。制作途中の画像と同様の撮影です。
ライティングやカメラアングル等、時間の経過で毎回が全く同じ、というのはなかなか難しい所です。
個人的な記録用としてならばそんなに気は使わなくてもいいのですが、そんな辺りも気配りが必要。

G122

画像2は背景をそれぞれ変えて撮影したものです。
左がサテンの布、右は集めた背景用の資料の画像に手を加えて出力したものをバックに使ったもの。
雰囲気を出す為ながら、なかなか思い通りの物が見つかりませんが、それらを苦労して探すのもこれまた楽しみだったりします。
最終の撮影を考えて制作途中に同時に行っておくのが効率的でしょう。

G123

画像3は上とは違った画像をバックに、の絵。
実際の映画のイメージに近い雰囲気が出ていませんでしょうか?
これで全体の彩度が落ちると、ポスターとしても使えそうですが…。

G124

画像4は制作途中でおなじみのアングルの顔のアップ、そして前回のお魚君。
目元は今回の最重要箇所でしたので、こうして背景も伴った完成画像ではやはりその役割をしっかりと果たしてくれている気が。
お魚君もこうして撮影すると、まだ生きて動き回っている気さえ。前回に加えて表面の水滴表現を追加してあります。

G125

今回のゴラムの最も代表的なアングルと言えるのが画像5ではないでしょうか。
ゴラムとしての悪の側面が出る前の、スメアゴルそのものの気質をとらえた瞬間とも言えそうです。
模型制作上のモチーフとしてはかなりグロテスクとも言えるゴラム、背景も劇中を意識してこうして一枚の写真に納まると、イメージの相乗効果で当初の計画がそのままカタチになったのでは、と思います。
年末には公開予定の「ホビット 思いがけない冒険」にも期待が増々膨らむというものですね〜!

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2012年5月13日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その11

今回は前回の続きで魚君からのお話。
元々このお魚君が何という部類なのかのも全く知らないままちょっと資料を物色、おそらく鯉の一種なのでは?との思いで進めてみました。
下地の色の風合いまでは既に終わっていますので、後は細かなディティール的な処理が中心です。
鯉ならばウロコに当たる模様が必要?目玉の処理は生きた感じ?死んでいる感じ?
魚の表面独自のキラメキの雰囲気は?獲れたてならばしっとりと濡れた表現は?
今回はその辺りを自己流の解釈で一気に進めてみました。

G111

画像1はそれらを考慮して再現してみた、の絵。
オリジナルでは表現されていなかったウロコ模様を格子状に描き込んであります。
なんともベタな表現になってしまいますが、鯉ならば、割と妥当な線なのかも。
腹回りに至るまでの微妙な白っぽさのグラデーションにも気を使いたい所。
最終的には濡れた雰囲気を出したいのでクリアでの処理になりましたが、その前に、基本塗装の後、ランダムにシルバーの極々薄めたものを追加、決してシルバー色は存在しないのですが、顔料の銀粉がまばらに表面に付着して、見る角度によって微妙な光の反射が得られます。
これは今回の瞳の塗装の際にも使っている手法、最終の仕上がりに隠し味でスパイスを利かせる意味合いなのです。
そして表面のしっとりと濡れた感じのクリア仕上げ、ここが最も重要な処理。本来の光沢を出す為の均一な塗膜、生物等の場合には必要ありません。
あくまでもランダムに、場所によっては光沢も有ったり無かったり、光沢の度合いも強かったり弱かったり、適材適所での使い分けがよりリアルな表現への近道だと言えるでしょう。

G112

画像2は当初のオリジナル。
こうして比べてしまうとなんとも悲しげな事に…。
造形が素晴らしいだけにもったいないですよね。
これはこれで有りなのかもですが、ちょっとのひと手間で上のようになってくれますので試してみる価値は大いにあるのでは?

G113

画像3ではわずかに残った髪の毛のほぼ最終段階の状態。
幾度にも渡って薄めた黒を塗り重ねて行く際に、しっかりとシャドウ部とハイライト部も意識しながら作業を進めて行き、常に単調な仕上がりにならないように進めます。
ただの黒をモールド通りにベタッと塗っても単なる塗り絵状態、フィギュアの塗装の際によく陥りがちなのがこの辺りの表現なのです。
この感覚が身に付いて来ると、色々な表現が見違えるように変化する筈です。

G114_2

という事で長らく続きましたゴラムの塗装も概ね終了です。
画像4は左がオリジナル、右が完成の画像。
小さな画像で比較してもその変化は非常に解りにくいですね。
ただ、間違いなく変化している事はお解り頂けるかと。
完成品としてのスタチューも、やはりひと手間掛けるとこんな風に変わるのだということで、ご覧頂いてます皆さんにも是非お気に入りの物でチャレンジしていただきたいと思います。
必ずや自分だけの貴重な一点ものを手にする事が出来ると思います。
今回は完成の割になんとも尻つぼみな状態では有りますが、完成画像は次回という事で、まだ続いちゃうんですね〜!しばしお付き合いの程を。

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2012年5月 6日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その10

いよいよゴラムも大詰めです。
前回に引き続きのベースですが、コケ部分に既にダーク系の色味で処理してあり、明度や彩度がかなり落ちていますので、この辺りに黄緑やビリジアン的な発色の良い緑色を、いつものようにランダムに塗り重ねて行きます。
この辺も同じ色味だけですと単調になりがちですので、部分的には赤や黄色なんかも適所に施すと効果があります。
全体が暗めになる今回の作品においては特に気を配りたい箇所ですね。

G101

画像1岩肌に生息するコケの発色が良くなるだけで見た目にも作品自体のダークなイメージが少し和らぐというもの。
ベースとは言え重要な役割を担っています。
手にした魚なども同様の役割といえるでしょうね、そして彼(ゴラム)の瞳、今回の作品ではこの三ヶ所をしっかりと演出する事で全体のイメージを更にしっかりとした位置づけにする事が出来るものと思います。
欲張らずに、でもしっかりと作品の中での「見せ場」を作っておくのも大切です。

G102

画像2背面アップの絵。前回とはかなり見た目のイメージが変化してきました。
当初のオリジナルの単調なべた塗りでは感じる事の出来ないものに、着実に変化しています。
手間暇と情熱をどこまで注ぎ込むのかの案配は人それぞれですが、まずは自分自身で満足できるレベルに最低ラインであっても持って行く、そして完成させる事。
大変では有りますが、ひとつひとつ毎回の小さな積み重ねが、結果として作品自体に大きく反映するのは言うまでもありませんです。

G103

画像3、お魚君も徐々に塗り重ねられています。
造形的に塗りにくい場所ですので、時間をかけてじっくりと取り組みたい所です。
ゴラムのわずかに残った髪の毛にも色を入れて行きます。
黒で一気に線を引く様な感じではせっかくの質感が台無しに。
細かい所ですが、じっくりと薄めの色で塗り重ねて行きます。

G104

画像4は魚の別角度。
小さいながらに存在感のあるアイテムなので、リアルに仕上げたい所です。
魚の詳しい事は全く知りませんが…。
ちなみに、こうしてベースや部分部分の箇所を塗って行く最中にでも、肌などの色味は随時追加修正してあります。
言われても、見直しても気付くものじゃあ有りませんけれど…(笑。こんなゴラム制作の作業の間には時たま映画ロード・オブ・ザ・リング1〜3までのサントラCDなどを流しつつ気分をいやがおうにも盛り上げたりもしているのでありました、とさ。


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2012年4月29日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その9

聞く所によると、世の中は今やGW真っただ中だそうで…(笑。そんな中だからこそ、模型!?な訳なのですが、ご家族の有る方はそちらもしっかりと大切にしてください。
と言う事ですが、ゴラムは相変わらず続いておりますです。
前回でベースの8割方は良い感じになってきましたが、オリジナルのややダルい系の岩肌のモールド感、を造形的な面に頼らずに、塗装で更にそれらしくして行きます。

G91

画像1、前回に加えての作業として、更に岩肌のハイライト部やシャドー部のコントラストを調整します。
どちらかと言うとヌメットした感じのモールドですが、ややごつごつな細かな岩肌をやり過ぎない程度で表現して行きます。
とは言え、劇中では禁断の泉のほとりの設定ですので、あくまでも違和感の出ない程度に、です。
意図的にモールドの無い部分に光や陰を描き込んで行きながら、イメージ的な岩肌を出して行けると良いのですが。
今回も部分的な一極集中ではなく、常に全体を眺めながら均衡の案配を調整します。

G92

画像2では更に細かな凹凸部の描き込み作業。
戦車等で使われるスクラッチ跡などのチッピングの表現にも似た感じでしょうか。
実際に傷を作るのではなく、描き込み作業でそれらしくみせる技、ですね。
以前の恐竜のスケルトンヘッドの時も同様の処理でして、情報量を盛り込みながら雰囲気を出すという事です。
自分の納得の行くまで、の作業になりますが、ハマってしまうと終わり所を見失ってやり過ぎる危険も有りますのでご注意を。

G93

画像3は元々のオリジナルの塗装状態、のアップ。
前回では画像が小さめでしたが今回のアップの物でどこまで解るかは疑問が残るものの、気持ちだけは伝わりますでしょうか?
オリジナル、造りも塗装もそんなに悪くないと思えてしまいますが(笑

G94

画像4は今回の画像2のアップ。
画像3と比べるとやはり全く変わっているのが解ります。やっていて良かった〜!と思える瞬間です、ね。
モールドには無い細かな凹凸表現が随所に追加されています。
生で見ても塗装なのかどうかはなかなか判断できませんので、やった分の効果は間違いなくあるのではないでしょうか?
腰布やポウチも更に塗り込まれていますので、オリジナルとは雰囲気が断然違って見える筈。
完成ももう間近、という感じになってまいりましたです〜!

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2012年4月22日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その8

前回で目元周りの塗装が終了いたしました。
今回はその間止まっていました全体のその他の部分です。
まずは腰布、そして右手で掴んでいる魚、そして足元のベース部分です。
この辺りまで来ますと有る程度同時にサクサクと進めた方が効率が上がるというものです。
しかもフィギュア自体の塗装がほぼ出来上がっていますので、全体で見渡しながらのバランスを取る意味でも、あちらこちらを一気に同時に進めちゃいましょ、って事です。

G81

画像1腰布も再度茶系で下地塗装。
おいおい古びた布らしく仕上げて行きます。
ベースは濃いめのグレーにて下地塗装、この段階では完全に黒でも良いのです。
今回のこのベースの場合には暗い色味から徐々に明るめの色味で立ち上げて行く手方をとった方が効果的だと思われるから、です。
当初のオリジナルではうるさいほどに鮮やかなコケ部分のグリーンにもダークグレーにてウォッシング的に処理、暗めに、彩度も落としておきます。
手にした魚は気持ち程度にブルー系で、薄めに処理。

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画像2下地の色よりもやや明るめのグレー、所々に色味の変化として赤やブルーなどの色味もランダムに配色します。
グレーは数回に分けて徐々に明るめにドライブラシの要領で立ち上げて行きます。
今の段階ではややコントラストがキツイ位でもかまいません、コケ部分も同様に処理して全体的に馴染ませて行きます。

G83

画像3前段階で強めに思えるコントラストはその後全体的に濃紺系のブルーでうっすらとフィルターを掛ける感じで処理。
コントラストが一段階落ち着いて行きます。
必要に応じて同様の処理を納得いくまで繰り返します。
更に明るめのベージュ系にて薄めに全体にドライブラシ。
更に必要に応じて各部所にランダムに色味の変化を描き込んで行きます。
ここまでで岩らしい感じが結構出てきました。
腰布もシャドー部やハイライトを数回に分けて塗って行きます。
魚は濃いめのブルーを薄めに数回塗り、ひれ部分との色味の変化も付けておきます。
パール系のエメラルドグリーンだった魚が青っぽくなり存在感が少し増した気がします。
個人差はありますが、この辺りで完成としても問題はないのかも。
私の場合はまだ細部の描き込みや色の調整が必要と判断、なのでまだまだ続く事に…。

G84

画像4は、左からオリジナル、画像1、画像2、一番右は画像3の背面からの岩の状態です。
並べてみるとその変化の程が判断しやすいですね。
やはりこうしてフラットな色味に色調の変化や細部の情報が増えてきますと、作品に厚みが出て来るのは、絵画の描き込みと通じる部分が多いのかもしれません。
プラスして行く作業は資料もさることながら作者の思考が大きく反映していると言えるのかもしれませんね。
ダヴィンチはその一生をかけてモナリザを描き続け、生涯完成には至らなかったと言います。
深いものが有りますです。

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2012年4月15日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その7

さてさて、春も一段と勢いが増してきましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
いよいよゴラムの塗装のキモ部分、目の塗装も最終段階です。
眼球自体は前回でほぼ完了しましたが、目となるとあとひと手間、と前回申しました。
眼球自体のクリア塗装の際に生じるその周辺(瞼)と隣接する部分のクリア塗料の回り込み(流れ込み)が原因で生じる境目付近の不自然なクリア塗膜の形成。
簡単に言うとコップに注いだ水の表面のガラスと接する部分の盛り上がり状態と同様な現象で、表面張力や界面張力的な物理のお話によって起こるもの。クリア表現の手法で有効ないくつかは以前にもお話ししましたが、まさに今回の現象の対処を考えた際に、手間はかかるもののアクリルクリアでの積層塗装が有効と思われる訳なのです。

G71

画像1の①はそんな現象によって出来た不自然なテカリや移り込み部分。
涙目に見える原因にもなります。その対処は実は至って簡単でして、気になる箇所にその近辺の色を塗ってトリミング処理をすれば解決です。
前置きが長い割に解決方は至って簡単なのですが…。

G72

画像2は瞼周りのトリミング処理を行った後の状態。画像サイズが小さいのでその差は解りにくいですが、光の具合によっても大きく変化する部分なので、この辺りは機会が有れば是非生で見ていただきたいものです。

G73

画像3はお約束(?)のアップ。目元が完成するとその他もググッと引き立って見えるから不思議です。
何かを訴えかけて来るかの様な目、見ている人を引き込む事が出来れば制作意欲も更に向上する事でしょう。
やはりフィギュアにおける目の重要性はとってもとっても重たい部分であるという事ですね。

G74

画像4は私の今までの作品の幾つかから目元を集めてみたものです。
モチーフやスケールが変われば当然その表現方法は変わるものの、作業の基本は同じです。これらもすべて今回のゴラム同様の作業で完成したものばかり。
上のどれもが映画絡みの物ばかりなんですが、すべてが解ったらかなりの映画マニア、かも〜!?(笑。
どれも毎回が悩んだあげくの仕上げなのですが、それぞれの個性、目元だけ見てもかなり出るものですよね。
同じ造形でも、塗装表現のみで感情までコントロールして表現できる、様に、なってみたいものです。精進有るのみ、ですね〜。

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2012年4月 8日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その6

前回途中まで進みました眼球のクリア塗装、前回時点で10回ほどのクリアの重ね塗りでしたが、今回は更に10回ほどクリアを重ね塗りした状態でのご紹介です。
なんと言っても根気のいる作業ですので、焦らず気長に、が大切なのですが、他の物も何体かを同時に進行していれば、合間合間で出来る作業なのでさほど辛くはないかも、です。

G61

画像1はおなじみのアングルですが、画像サイズでは眼球の雰囲気はやはり伝わりにくいですよね?
既に20回は重ねたクリア処理のおかげで、塗るたびに眼球に元々有った凹部分がどんどん埋まって行き、今回では既に元々全てがフラットであったかのように全体がツルリンとしています。
がんばっていて良かった〜!と思う瞬間でもあります。

G62

このような凹部を残したままの造形自体の処理が珍しいのかもしれませんが、実は今回の目的は、造形自体に手をかけないという事よりも、瞳孔の凹状部分にクリアを埋め込んで行く作業によって、本来の人の眼球の構造に近い物として表現できる、という所だったのであります。
実際に、過去の海外のフィギュア作家の方の作例として、いくつか同様の処理をされている方がいらっしゃいました。
ビッグスケールでのお話では有りますが、わざわざフラットな眼球に塗装を施した後に瞳孔部をドリルで穴をあけ、透明レジンで埋めて行くという物でしたが、手法の違いは有っても、その目的は同じ物かと思いますです。
私はアクリルのクリアを使い、手間はかかりますが確実な透明感を実現したのではと思っています。

G63

画像3はかなりグロさが感じられるかもしれませんが、目元の角度違いのアップを並べてみました。
光源は同位置にしましたので、アイキャッチの感じで、全体がまんべんなくフラットになっているのがお解りいただければ良いのですが…。
当初と比べると、眼球のグロス感がしっとりとした実際の眼球に、少しは近づけたかと思います。
そして瞳孔部も単に塗装をしたとは思えない深みが出ています。
前回施した虹彩部のシルバー処理も、クリアに厚みが増した事によって、見る角度によっては不思議な光の反射をみせてくれます。

G64

多少荒い画像になりますが、眼球の更にアップを一枚。怖い絵ですね〜!(笑。今回で眼球の塗装はほぼ終了なのですが、目の塗装となるとこれまた更にひと手間かかります。
その辺りはまた次回にて。

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2012年4月 1日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その5

暦ではもう4月、皆様は新しい年度に向けて色々なお考えもお持ちの事でしょう。
暖かな季節になると、模型から離れて行く傾向も増えたりなんかしますが…(笑
という事で私の場合は年中季節に関係なく本業も模型も進行している訳でして、ご覧いただいている皆様にも季節に関係無い内容で引き続きご覧いただく事になりますです。

G51

さてゴラムですが前回に引き続きましての目の作業です。
前回は白目の周囲の血管や瞳の虹彩の描き込みで結構変化が見られた(?)事と思いますが、ちょっとオーバー気味な雰囲気を補正の処理です。
補正といっても、コントラストのやや強い感じの場合には、下地の同系色を薄く薄く重ね塗りするだけで落ち着いた感じになってくれます。
軽くフィルターを掛けた感じでしょうか。
特に瞳の虹彩部分は納得が行くまで塗り込み、描き込み、です。

G52

画像2のアップ画像では前回と虹彩部分の雰囲気が変化しているのがお解り頂けますでしょうか?
それと、今回の虹彩部分、単に色味の変化だけではなく、実は極々薄く融いたシルバーを加えてみました。
ぱっと見では全く解らないのですが、見る角度によってはシルバーの細かな銀片がわずかながらですが光の加減を調整してくれます。
料理で言うと隠し味的な扱いですが、仕上がり時には効果がある訳です。
あと、個人的なこだわりもしっかり加えた、という満足の意味も合ったりなんかして。
瞳部分の塗装は以上で終了といたします。

G53

画像3ではいよいよ眼球のクリア塗装。特に今回は冒頭でもお話ししたように、造形自体で瞳部分に凹モールドが施されています。
あえて下地で埋めなかったのは、塗装のみでもこんな風に処理出来る事をお伝えしたかったからなのです。
しかしながらやる事は至って簡単、ただ根気が必要なだけ、です。

G54

まずは虹彩外周部と瞳孔部の凹モールド部にクリアを塗ります。
塗るというよりも、筆に付けたクリアを垂らす感じでしょうか。
一回や二回では光沢が出るのみでモールドにさほどの変化はありませんので、しっかりと乾燥させ何度も繰り返します。
根気のいる作業です。
出来れば何か他の作業との同時進行が良いでしょうね。
画像4では10回ほどクリアを塗り重ねたた状態。
通常の撮影の光源では解りにくいですね。

G55

ということで画像5では目元にスポット光にてアイキャッチを入れてみました。
ようやく目玉が爛々と輝きだしました。
眼球自体の均一な塗膜になるまではまだまだですが、目の仕上がりまであと一歩という所まで来た感じです。

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2012年3月25日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その4

今回から数回に分けて目に関する処理のお話です。
目は口ほどに物を言うなどと申しますが、実際そう思う事は多々直面いたします。
むろん実際の人のお話ですが、絵画の世界やフィギュアの世界においても全く当てはまるのではないでしょうか。
作品自体を生かすも殺すも、目の表現に掛かっていると言っても過言ではないのかもしれません。

G41

画像1では眼球の白目部分を一度ホワイトにてべた塗りしてあります。
瞳部分も鮮やかなブルーを配し、且つ明るめのブルーにて簡単に若干の虹彩の表現をしてみました。
瞳孔部はオリジナルの黒のままです。
前回の画像とはまた一段と変化してきて生き生きしてきた気が…。
改めて恐るべしは「目」です、ね。

G42

画像2では白目の周辺部分に細かな血管をうっすらと表現。
幼子の様な純白もしくは青みがかった白目は、月日を幾度となく重ねてきた人物にはいかがな物かと。
試しにご自身の目を鏡で改めて覗いて見てください。
夕方以降など一日の疲れもはっきりと眼球に表れてはいませんでしょうか?
ただし、模型の場合には、やり過ぎると…、ご注意ください。
あくまでも真っ白ではない白目の立体的な助っ人的な案配で十分でしょう。
この際、真っ赤よりもオレンジあたりの方が無難です。
使った色で上下の瞼周りも更に強調しておきます。

G43

画像3は画像2の別の角度からのアップです。
徐々にグロさに磨きがかかって参りました(笑)瞳の虹彩部分も更に色調の変化を強調してあります。
虹彩の外周部から瞳孔の中心に向けて出来るだけ同心円状に。
実際の虹彩はかなりウネウネとした波模様の様ですが、1/6スケールではそこまでの要求はされない事でしょう。
もちろんこれ以下のスケールの場合にも、適用します。
あえてチャレンジされるのも素敵かも!

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2012年3月19日 (月)

ゴラム(スメアゴル) その3

さて、ゴラムも3回目となりますが、今回は前回から数過程進行してのご紹介となります。
進行状況も毎回では本当に極わずかな変化ですので、途中をやや割愛しないと解りにくいかも?という事なのですが…。
いつもの物よりも前回レベルとの比較での変化がお解り頂けるのではないでしょうか?
基本的には顔を含めた全身の肌の表現となります。

G31

まずは画像1ですが、全体的に前回の物と比べると色味にメリハリが付き、深みが増していると思います。
そして、大まかではありますが肌の部分部分の色味の変化やシミ等の表現も若干プラスされています。
全体的な色味は前回から数度に渡り、凹部はシャドウ処理(①)、凸部はハイライト処理(②)を施しながら立体感を持たせてあります。
手や足下なども劇中の汚れ具合なども追加。
顔では、全体のシミ表現の追加、目元の赤味や耳や鼻、口元の部分的な赤味の変化なども追加処理。
加えて肌の部分的な黄色味や青味なども必要に応じて追加してあります。
この辺りの処理は、全体的にではなく、ランダムにあくまでムラの有る位の方がリアル感が増すようです。
遠目に離して眺めた際に部分的に目立ち過ぎる場合などは再度色調を落としての調整が必要です。
くれぐれも全体的なバランスの元ではじめて効果がある訳で、やり過ぎには注意が必要です(何事も!)

G32

画像2は全体をグルリと撮影した状態。
作業自体は常に全体を見ながら、時には手元から離して遠巻きに観察する事も必要です。
作り手としてではない第3者的な視点に立って見てみる事も時には有効ですね。
作業中は何かと己の世界観に浸ってしまいがちですから…(笑)
画像の様に作業工程を撮影してチェックしてみるのも現在ではとても意味が出てきます。
作業中には気付かなかった箇所も、こうして画像で改めて見る事で気が付く部分も多々あります。
スケールの小さめの物なんかでは、加工作業でのやり残しや、塗装の際の塗膜の変化、細かな塵やゴミの付着なども発見できるかも。
素敵な完成品には素晴らしい表現力だけではなく、常に周りの物や作品自体にも鋭い観察力が求められるのです。

G33

画像3はお約束の顔のアップ。
前回と比べての細部の情報量がかなり増えているのがお解り頂けますでしょう。
その分ますますグロテスクになってきた、とも言えるのですが…。
次回はこのアイテムの最も重要な箇所、目の表現について、の予定です。

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