2012年8月20日 (月)

ベビーゴジラ その4

前回はおおまかに3段階で塗装の段階を紹介いたしましたが、この手の塗装、何回塗れば終わり、という事は無いので満足行くまで何度でも、塗り重ねていきます。

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画像1では上げすぎた彩度をやや押さえながら、それでいて細部の微妙な色味を残しつつ全体的なトーンの調子を整えます。
グレーや黒、ベージュ系の色で一皮被せる様なフィルターを掛けた様な雰囲気でしょうか。
こうしてみると、作業自体は行ったり来たりの繰り返しですが、あくまでも仕上げのイメージに近づける為の作業、一発で想い通りのイメージになったなら、そこでオッケーなのかもですね。

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画像2前回の画像6と比べて見てください。
全体の彩度がかなり押さえられ、暗めになって来ました。
ここでも塗装の際にはウォッシング的なやり方とドライブラシ的なやり方を併用しながら塗り重ねていきます。

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画像3では更に次のステップ。
上面の茶系や青系、ブラック系をあくまでも部分部分で使い分けしながらランダムに塗り重ね、皺の谷間には明るめのベージュ系を流し込みながら立体感とリアル感を強調します。
凹部だから暗いだろうというイメージだけでは成立しない箇所です。
生きた爬虫類や両生類の皮膚なんかがイメージの参考です。

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画像4角度違いと頭部側面のアップ。
寄って見た場合には明らかに作業の始めとは変わって来ています。
皮膚の質感がいろいろな色味によってリアルになって来たと思います。
単色のみではなかなかこの様にはなってくれないのですよね。

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画像5左が参考の実際に造られたベビーゴジラの資料、右が現在の物。
仕上がりまではまだまだでは有りますが、かなり近いイメージに向かっています。
スケールの違いによるオミットされたりオーバースケールなモールドなどが主な原因ですが、子供のおもちゃとしてはかなりの出来だと改めてうなずいてしまいます。
途中から目をホワイトで塗装しましたので、当初のバタ臭さは無い物の、らしさとしてはやはり物足りない状態な現状。
次回はいよいよ目の塗装に着手でベビーゴジラに命が吹き込まれる?どうなりますやら〜♪

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2012年8月12日 (日)

ベビーゴジラ その3

暑さと寒さ(?)寒暖の差が激しい今年の夏ですが、皆さんも体調にお変わりはなかったでしょうか?
模型制作にはなかなか辛い季節ですが、ここは踏ん張りどころです。
と言う事でベビーゴジラ、いつになく細かな作業で手を入れてみましたが、今回からは塗装段階。
本来は塗装前にサフェーサー等の下地処理が望ましいところですが、オリジナルの塗装も結構な塗膜の厚さ故、今回はそのままオリジナル色に塗装して行く事にいたします。

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画像1はその第1段階、下塗りの意味で、パテ等で手を入れた箇所とそれ以外のオリジナルの色の差が目立たないように同系色にて塗装します。
この後にどんどん色を乗せて行きますので、若干の違和感は気にしません。
画像で見ると、元々がこんな仕上がりだった気さえして来ますが…。

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画像2は頭部とボディー側面の状態。
やはり口回り以外は元がこんな感じなんでしょ?的な段階で、実際にはここからがスタートと言っても良い段階です。
それにしても、アップにした際の各部所のモールドの意外な程繊細な造形には今更ながら感心です。

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画像3は塗装第2段階。
表皮上面は暗めの茶系でトーンを落とし、表皮下面部はアイボリー系を塗ります。
どちらも最終のイメージに近い色で大雑把に塗っておきます。
当初のオレンジっぽく鮮やかな色味がグンとおとなしい色にトーンダウンしました。

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画像4ボディー側面のアップ。
いつもながらの事ですが、一気に下地を塗りつぶす事無く、下地の色味も部分部分で生かしながら塗り重ねて行った際のランダムな感じが、後々でも効果的になって来ますので、あくまでも全体のバランスを掴む事が大切です。

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画像5、塗装の第3段階では更に緑系や赤味なども加えて行った状態。
上面には恐竜に近いイメージと言った雰囲気を持たせるために、緑系や紺系をランダムに。
下面部にはやはり爬虫類や両生類のイメージに近づけるようにアイボリーのベース部に赤味を加えて血色感を表現します。

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画像6、多少オーバーなくらいにしておいた方が後の作業の軌道修正の意味合いの方向が掴みやすくなるかもしれません。
今回の様なアイテムは、表面の凹凸の度合いで、凹部の塗装は墨入れ的な感じで、凸部の塗装はドライブラシ的な感じでと、それぞれ使い分けして行くと作業の進行時の変化がより分かりやすくイメージも掴みやすいと思います。
作業を重ねる度にどんどん変化して行く様はなんとも言えない充実感が味わえます。
模型の醍醐味なのでしょうか?

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2012年8月 6日 (月)

ベビーゴジラ その2

前回はオリジナルのベビーゴジラのご案内でしたが、今回は塗装前の下準備として、造形的に気になる箇所に簡単に手をかけます。
トイ全体に言える事ですが、成型時のパーティングラインやパーツの合わせ目部分に関しては多くは期待でません。
しかもまずい処理を塗装の塗膜を厚くする事で目立たなくしてある事も有るのでよく観察しなければいけません。
そんな辺りにも注意しながらしっかりと気になる箇所をチェック、です。

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画像1左上はさてなんでしょう?右上と左下はボディーの合わせ目部のパテによる修正。
右下は足の爪の簡単なディティールアップの状態。
全体的な形状に合わせてパテを盛り、ディティールの形状も近辺との違和感が出ないように出来るだけ合わせておくと後々の効率が上がります。

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画像2必要な各部所をパテにて修正を加えた全体の状態。
腕、足、しっぽの付け根近辺は特に仕上がり後のバランスに大きく影響します。
手足の爪もほんの少しの作業で大きくイメージが変わる箇所。特に今回手をかけたのが口周りで、口の中のディティールや舌の形状変更、そして牙の扱いを変更してあります。

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画像3ボディー各部所のアップ。
必要最低限の修正に停めてあるのが分かると思います。
この辺の作業は、やり過ぎると全く持ってキリが有りませんです。

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画像4左は爪部分のアップ。
オリジナルでは寂しい形状でモールドもだるいのでシャープにして存在感をアップします。
口元もオリジナルではかなり悲しい事になっていましたので、牙は全て切り離してパテにて新造。
画像1の左上の画像は実はこの牙の元になるパーツの途中の物。
1ミリ程の極小の物ですので細心の注意が必要です。
舌の形状も資料を参考に造り直しておきます。

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画像5各部所の別アングル。
簡単なディティールアップですので、作業は出来るだけ緻密に考えた上で一気に済ませます。
見せるポイントを絞り込んでおけば途中の迷いは無いと思いますが、作業途中で考えだしてしまうと、なかなか進まずに、最悪そのままお蔵入りなんて事にもなりかねませんね〜。
それにしてもオリジナルの目、何時見ても変ですね。

と、ここでご案内ですが、「北海道モデラーズエキシビション」が8月18日(土)・19日(日)の開催となります。北海道内外のモデラーが一堂に集う年に一度のお祭り、お時間のある方は是非お越し下さいませ。今年も昨年同様に、ホール、アトリウム、ルームでの3会場での開催ですので、是非くまなくご覧くださいませ!

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2012年7月30日 (月)

ベビーゴジラ その1

夏も真っ盛り、30度を超えると道産子にとっては辛い物が有ります。
皆さんもこんな時期にはしっかりとした体調管理で乗り切ってくださいませ。
ということで、何時公開なのか?が気になるハリウッド版リメイク「ゴジラ」ですが、1998年のハリウッド版ゴジラ、こちらは当時燦々たる酷評に打ちのめされていましたよね。

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画像1は昨年手掛けたそのハリウッド版ゴジラのハンドパペット。
中は中空で手を入れて遊ぶトイ。
1998年の映画公開に合わせてこんな子供向けのトイが結構販売されていました。
そこそこ大きくて小柄な犬程のサイズの物ですが、リペイントで劇中の造形に結構近づいた出来に…。
トイ、恐るべし、です。
当時はスポーンなどのフィギュアも結構売れていましたし、トイ絡みの活気はずいぶんと賑わっていました。

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画像2右の画像がリペイント前のオリジナルの物、子供向けとは言え、結構馬鹿にした造りなのでした。
しかしながらよくよく見るとモールド等はかなり手の込んだ造りに。
塗装にひと手間掛けてくれれば、さぞや素晴らしい事になっていたでしょうに。
まあ、こうした版権絡みの物にはよく有る事なのですよね〜。

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前置きが長くなりましたが、画像3左が今回のテーマの物、ベビーゴジラのアイテム。
こちらは全長20cm程の小柄な物。
ご丁寧にダメージを受けた後が肋骨横辺りに表現されています。
何処の誰がこの造りに喜んだのでしょうね?右画像が劇中の画像。
比べるとなんだか全く違うのでは??個人的にはかなり好きな部類です。

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画像4ブリスターから取り出した状態。
なんとも言い様が有りませんです。
ゴジラというより、安っぽいティラノサウルスか恐竜グワンジと言ったところでしょうか。
普通は欲しいとは思わないかも?まして購入となると…(笑。持っている私はいったいぜんたい??

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画像5初公開の私の手、はどうでもいいのですが、手にした感じがなんとも安っぽい雰囲気ぷんぷん。
ほんじゃ逆光で寄ってイメージ風にしたら?が右の絵、どうにもなっていません、ですか?(笑。
何がいけないのでしょう?モールドはそこそこ雰囲気が出ていますが、やはり全体の色、何よりも目。そして口元の表現、でしょうか。
という事で、今回からこの悲しい運命のベビーゴジラをなんとか画像3の劇中の雰囲気に似せる事が出来たら良いな作戦の開始なのでした。

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2012年7月22日 (日)

1/6ビネット その4(最終回)

ビネット制作も最後の締めくくりとなります。
前回までのフィギュア本体や小物関係をベースに固定していよいよ完成。
作業の始めにはおおよその配置の確認も当然ながら済ませておかないと、ここに来てアリャリャな事に。
事前の構想と途中の擦り合わせは常に欠かせません。
バランス良く配置されるまで、微妙な移動も固定前には済ませておきます。

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画像1が完成の姿。
画像で見る限り、1/35辺りのビネットととらえる事も出来ますが、実際は1/6ですので、こじんまりした内容ですが完成するとかなりの大物です。
フィギュアも単体の時とは明らかにその存在感に違いが。
ベースに配置された細かな小物類やベース自体も一体感に包まれました。
今までバラバラだった関係がこうして完成すると全てに因果関係が生じ、改めてひとつの作品が生まれたと言えるのではないでしょうか。

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画像2は横からと後ろからの絵。
極限にスペースを切り詰めてこそのビネット、無駄なスペースは全く有りません。
この辺りのバランスがディオラマとは感覚的に違う所で、また魅力的な部分でもあります
。画像が小さくなるにつれ増々1/6らしさが感じられませんね。

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画像3はフィギュアの腰位置の目線でのアップ。
アップになると細かな表現が1/6らしく見えて来ますでしょうか?
MG-34の機銃の質感もビッグスケールならではのものに。
私の場合、1/6に決して拘っている訳ではないのですが、大きい世界観での独特の楽しみにハマってしまうと、これはこれで非常に楽しい世界なのでした。保管を考えると?ですが…。

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画像4の左が別アングル、そして右が背景を入れて撮った物です。
背景が有るのと無いのとでは写真としての意味合いが大きく変わりますので、目的にあった物を使うと効果的です。
今回は大きめなサイズなのでA3相当の物を用意して、A4にて上下に分割で出力後張り合わせて使ってあります。
合わせ目や画質の粗なども、撮影の際の絞り調整での被写界深度に注意すると、さほど気にならない仕上がりになってくれます。

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画像5が最終決定版の一枚と言えるでしょうか。
この一枚を撮るために今までの作業が有ったと言っても決して過言では有りません。
画像1のホワイトバックはあくまで作品自体の姿を見せる物でしか有りませんが、こうして背景も含めた一枚の画像になった際には、作品の裏側のストーリーすら想像してしまう、ちょっと大げさでしょうかね?(笑

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画像6は、とある戦場の一枚より、と言った雰囲気を以前同様にデジタル加工しました。
模型の撮影の際には、アナログの世界観を守るために出来るだけ撮影した画像も手を加えたくない所なのですが、デジタル故のお手軽仕上げも、これまた別の意味で楽しめる世界です。
皆さんも色々と自己流で楽しんでみてください。模型の世界は、果てしない楽しみが待っていますです〜!

ガンプラ、カーモデル、スケールモデルの模型工具専門店-スジボリ堂