2012年6月10日 (日)

アナキン その3

前回はおおよそ良い線まで顔が出来て来ました。
あくまでも全体的な視点で見て行くと、少しずつ手を加えて行った方がより良くし上がるというもの。
失敗を恐れずにどんどんチャレンジする姿勢も大切です。
失敗してもそこで終わる事はなく、そこをどうリカバリーして行くのか、色々な作業の上でこれまたとっても為になるものです。
今回はその辺りの調子を整えながらも、コスチュームに着手です。
なんと言ってもあくまでトイの悲しさでしょうか、それと同時に経年変化による煤け具合からでしょうか?
なんとも単調なコスチューム、なんとかすべく全体的に着色して行きます。

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画像1では上着の色を濃いめのグレーにしてみました。
始めに一度脱がせてしまい、ほぼ黒に近いダークグレーを結構な量の水を入れた容器でよく溶きながら水溶液状にします。
後はその中に上着を入れて染めて行く訳です。
適度に染まった状態で一度完全に乾燥させますが、感想前と後では色の差が極端に違いますので、気に入る色合いになるまで何度か繰り返しての作業となります。
急いで乾燥させようとすると各所で色のムラが出ますのでじっくりと時間をかけて乾燥させましょう。

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画像2では乾燥後の色味に風合いを出す為の色をドライブラシの要領で各所に着色して行きます。
ベースを暗めにした為に、今回は明るい色に立ち上げて行く作業が中心となりました。
どんどん色が乗って来ると、当初の布の柔らかさが無くなり固くなって来ます。
それとは裏腹に色味は柔らかくなって行くギャップなんかも楽しみどころです。

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画像3更に必要に応じて色の調整&顔や髪の毛の細部も整えて行きます。
同時に当初の首飾りも本来ならば作って行くべきでしょうが、今回は当初よりもちょっぴりリアルな感じで描いて行きます。
凹凸感の度合いが肝心です。それと瞳にアイキャッチが入りました。

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画像4は画像3の全体と衣服部のアップ。
当初のオリジナルとは全く別の物になって来ました。
資料等を見ながら各部を徐々に調整して行きます。
ブーツ周りは造形による一体成型処理ですので、全体の布の雰囲気と違和感が出ないように細部を描き込んで行きます。
ベルト周りも使い込んだ風合いが出るように着色。
腕辺りの皺なども描き込んで行くと何となく良い感じになって来ました。

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画像5では前回の続きから並べたもの。
どんどんと変化して行く様をこうして並べると、自分でも改めていろんな事に気付くものです。
後は仕上げの微調整がほんの少しと言う所で仕上がりそうですね〜♪

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2012年6月 3日 (日)

アナキン その2

前回はモチーフとなる素材とそれにまつわる映画のお話、裏話等もしだすと尽きる事が無い部分では有りますが、それでは前に進みません。
今回からはしっかり塗装の開始となりますです。
その前に、素材の造形、とても出来の良い造りでは有りますが、アナキンご本人に似ているか?
となると、まあ似てはいるのですが、何となく似ているかも?レベル。
塗装でそれ以上に似せれるといいのですが、今回は結構厳しそうな気が…。
どうしてもそっくりなものが欲しい場合には、ヘッドのスクラッチとなる訳でして、その辺りはまた今度の機会にする事にいたします。

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画像1は下塗り状態。主に肌の部分と髪、そして目元も何となく。
肌は一般的なフレッシュ等、下塗りなのでその辺りならば何でも結構です。
髪は黄土色系に。目元はあまりにつぶらな瞳に耐えられそうもなかったのでぼんやりと白を入れてあります。
いずれも下地が透ける程度でが、目に関しては、あしたのジョーの倒れる瞬間の心神喪失的な事になってしまっていますね〜!ちょっと危ない?
やばいぞ、アナキン!?

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画像2ではやや明るめの肌の色を薄く重ね塗り。
その際に鼻の下、顎の下、首もと、目元辺りにシャドー色も入れていきます。
うつろだった瞳もダークグリーン系でピシッと締めましょう、アイライン辺りも同時に処理するとしっかりとした目になってきますので、イメージが掴みやすくなります。
前段の目とは全く別の物になっていますよね〜?

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画像3ではまだまだ大雑把ですが、ハイライト部を更に立ち上げて全体的に明るい雰囲気に。
同時に髪の毛もシャドー部とハイライト部を描き込んでいきます。
この時点で全くアナキンには思えない、ですか?(笑

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画像4更にハイライトを足して行きながら、柔らかな印象の肌に仕上げて行きます。
シャドウ部も同様に必要箇所に同様の処理を施します。髪の毛も全く同様の処理を。
目元も柔らかなおっとりとした印象になるまで塗り重ねて行きます。
この時点で瞳の虹彩や瞳孔も施します。
始めの危ない子供のイメージがかなり人っぽくなってきていませんか?
それはそれとしてもまだ似ていない?ただの可愛い外人の子供??でしょうか。

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画像5は左から画像1〜画像4までの全身を並べた状態。
主に頭ですのでこうして並べてもその変化は解りにくいかも、ですが、何となくでは有りますが、結構変わってきたとは思いますです。
次回は顔と同時にコスチュームにも色を施して行きます。

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2012年5月27日 (日)

アナキン その1

さて今回から新企画の始まりです。
とは言っても前回までのゴラムがちょっと長過ぎたのもあった為に、飽きた感も強いかも?
という事で、新企画は端的に終わらせながら次から次へと移行して行く、つもりでは有りますが…(笑。新ネタのお題は、ずばり「アナキン」。
既に公開から12年の歳月が経つスターウォーズ エピソード1、この春3Dとして改めて公開されたのでご覧の方も多いのではないでしょうか。
アナキンと言えばルークの父にしてあのダース・ヴェイダー本人でも有る訳で、全編通しての主役とも言える存在な訳ですから大変です。

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画像1は12年前の公開当時に真っ先に商品化されたハズブロの12インチアクションフィギュア、12インチとは言っても子供なのでスモールサイズですが…。
それにしてもこのパッケージの中での格好はどうしたものなのでしょう?どう見ても主役とは思えない扱い?
そして当時の価格で3,800円、高いと思うか安いと思うかは個人差があるでしょうが、現在では一時の投げ売りが祟って、今後価値が出るのでしょうか?

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画像2上の物よりも後発で発売されたアナキン。
装備も増え、フィギュアの造形もまた手が加えてある辺りが心憎いです
。ただしどちらも似ている様な似ていないような?商品化されている事自体が重要な訳で、クオリティーは2の次?
出来は良いのですが。こちらも非常に惜しい事になっておりますが…。

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画像3の左がアナキン役のジェイク・ロイド君。
右はその後成長したご本人。
あの愛らしさはいったい何処へ行ってしまったの?

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画像4は今回のお題の張本人のアナキン。
格好がややみすぼらしいのは、この格好の時点ではまだ奴隷という設定な訳です、よね。
その後にダース・ヴェイダーになってしまう事など誰が想像できるでしょう。
造形的にはよく出来ているものの、成型色の肌の雰囲気は全く持ってお人形さんです。
しかも顔と手の材質の違いで色も妙な事に!
12年の歳月をまたいで今回メデタク開封されたにもかかわらず、ずいぶんな言われ様です。
ただしこの衣装、エピソード4のルークの衣装を意識はしているようですよね。感慨深いです。

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画像5はお顔のアップ。
お目々がとっても愛らしいお人形さんですが、アナキンなんでしょうか?本当に?
じっくりと見ていると、ちょっとは似ている気がしてしまうのもこれまた悔しいものが有ります。
コヤツが今後どう変化して行くのか。
早めの展開予定ではありますが次回以降に乞うご期待!
※あまりに過大な期待はご遠慮願いますです。


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2012年5月20日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その12(最終回)

いよいよ、最終回です。やっとかい!?という声もあるかもですが、今回がラストなのです!
約2ヶ月以上もかかった訳ですが、実際の制作は普通に詰めればその数分の一で済んでしまいます。
制作とは言ってもあくまでリペイント、です。
当初のコンセプトや考え方も時間とともに変化してしまう事が有りますので、えい!、やっ!!という思い切りも大切です。
あまり考えすぎて手が止まってしまうと、そのままお蔵入り、なんて経験の方も多いのでは?
出来るだけそうならないで完成に漕ぎ着けるのが理想ですよね。

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画像1は完成の全体。制作途中の画像と同様の撮影です。
ライティングやカメラアングル等、時間の経過で毎回が全く同じ、というのはなかなか難しい所です。
個人的な記録用としてならばそんなに気は使わなくてもいいのですが、そんな辺りも気配りが必要。

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画像2は背景をそれぞれ変えて撮影したものです。
左がサテンの布、右は集めた背景用の資料の画像に手を加えて出力したものをバックに使ったもの。
雰囲気を出す為ながら、なかなか思い通りの物が見つかりませんが、それらを苦労して探すのもこれまた楽しみだったりします。
最終の撮影を考えて制作途中に同時に行っておくのが効率的でしょう。

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画像3は上とは違った画像をバックに、の絵。
実際の映画のイメージに近い雰囲気が出ていませんでしょうか?
これで全体の彩度が落ちると、ポスターとしても使えそうですが…。

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画像4は制作途中でおなじみのアングルの顔のアップ、そして前回のお魚君。
目元は今回の最重要箇所でしたので、こうして背景も伴った完成画像ではやはりその役割をしっかりと果たしてくれている気が。
お魚君もこうして撮影すると、まだ生きて動き回っている気さえ。前回に加えて表面の水滴表現を追加してあります。

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今回のゴラムの最も代表的なアングルと言えるのが画像5ではないでしょうか。
ゴラムとしての悪の側面が出る前の、スメアゴルそのものの気質をとらえた瞬間とも言えそうです。
模型制作上のモチーフとしてはかなりグロテスクとも言えるゴラム、背景も劇中を意識してこうして一枚の写真に納まると、イメージの相乗効果で当初の計画がそのままカタチになったのでは、と思います。
年末には公開予定の「ホビット 思いがけない冒険」にも期待が増々膨らむというものですね〜!

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2012年5月13日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その11

今回は前回の続きで魚君からのお話。
元々このお魚君が何という部類なのかのも全く知らないままちょっと資料を物色、おそらく鯉の一種なのでは?との思いで進めてみました。
下地の色の風合いまでは既に終わっていますので、後は細かなディティール的な処理が中心です。
鯉ならばウロコに当たる模様が必要?目玉の処理は生きた感じ?死んでいる感じ?
魚の表面独自のキラメキの雰囲気は?獲れたてならばしっとりと濡れた表現は?
今回はその辺りを自己流の解釈で一気に進めてみました。

G111

画像1はそれらを考慮して再現してみた、の絵。
オリジナルでは表現されていなかったウロコ模様を格子状に描き込んであります。
なんともベタな表現になってしまいますが、鯉ならば、割と妥当な線なのかも。
腹回りに至るまでの微妙な白っぽさのグラデーションにも気を使いたい所。
最終的には濡れた雰囲気を出したいのでクリアでの処理になりましたが、その前に、基本塗装の後、ランダムにシルバーの極々薄めたものを追加、決してシルバー色は存在しないのですが、顔料の銀粉がまばらに表面に付着して、見る角度によって微妙な光の反射が得られます。
これは今回の瞳の塗装の際にも使っている手法、最終の仕上がりに隠し味でスパイスを利かせる意味合いなのです。
そして表面のしっとりと濡れた感じのクリア仕上げ、ここが最も重要な処理。本来の光沢を出す為の均一な塗膜、生物等の場合には必要ありません。
あくまでもランダムに、場所によっては光沢も有ったり無かったり、光沢の度合いも強かったり弱かったり、適材適所での使い分けがよりリアルな表現への近道だと言えるでしょう。

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画像2は当初のオリジナル。
こうして比べてしまうとなんとも悲しげな事に…。
造形が素晴らしいだけにもったいないですよね。
これはこれで有りなのかもですが、ちょっとのひと手間で上のようになってくれますので試してみる価値は大いにあるのでは?

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画像3ではわずかに残った髪の毛のほぼ最終段階の状態。
幾度にも渡って薄めた黒を塗り重ねて行く際に、しっかりとシャドウ部とハイライト部も意識しながら作業を進めて行き、常に単調な仕上がりにならないように進めます。
ただの黒をモールド通りにベタッと塗っても単なる塗り絵状態、フィギュアの塗装の際によく陥りがちなのがこの辺りの表現なのです。
この感覚が身に付いて来ると、色々な表現が見違えるように変化する筈です。

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という事で長らく続きましたゴラムの塗装も概ね終了です。
画像4は左がオリジナル、右が完成の画像。
小さな画像で比較してもその変化は非常に解りにくいですね。
ただ、間違いなく変化している事はお解り頂けるかと。
完成品としてのスタチューも、やはりひと手間掛けるとこんな風に変わるのだということで、ご覧頂いてます皆さんにも是非お気に入りの物でチャレンジしていただきたいと思います。
必ずや自分だけの貴重な一点ものを手にする事が出来ると思います。
今回は完成の割になんとも尻つぼみな状態では有りますが、完成画像は次回という事で、まだ続いちゃうんですね〜!しばしお付き合いの程を。

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