2012年5月 6日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その10

いよいよゴラムも大詰めです。
前回に引き続きのベースですが、コケ部分に既にダーク系の色味で処理してあり、明度や彩度がかなり落ちていますので、この辺りに黄緑やビリジアン的な発色の良い緑色を、いつものようにランダムに塗り重ねて行きます。
この辺も同じ色味だけですと単調になりがちですので、部分的には赤や黄色なんかも適所に施すと効果があります。
全体が暗めになる今回の作品においては特に気を配りたい箇所ですね。

G101

画像1岩肌に生息するコケの発色が良くなるだけで見た目にも作品自体のダークなイメージが少し和らぐというもの。
ベースとは言え重要な役割を担っています。
手にした魚なども同様の役割といえるでしょうね、そして彼(ゴラム)の瞳、今回の作品ではこの三ヶ所をしっかりと演出する事で全体のイメージを更にしっかりとした位置づけにする事が出来るものと思います。
欲張らずに、でもしっかりと作品の中での「見せ場」を作っておくのも大切です。

G102

画像2背面アップの絵。前回とはかなり見た目のイメージが変化してきました。
当初のオリジナルの単調なべた塗りでは感じる事の出来ないものに、着実に変化しています。
手間暇と情熱をどこまで注ぎ込むのかの案配は人それぞれですが、まずは自分自身で満足できるレベルに最低ラインであっても持って行く、そして完成させる事。
大変では有りますが、ひとつひとつ毎回の小さな積み重ねが、結果として作品自体に大きく反映するのは言うまでもありませんです。

G103

画像3、お魚君も徐々に塗り重ねられています。
造形的に塗りにくい場所ですので、時間をかけてじっくりと取り組みたい所です。
ゴラムのわずかに残った髪の毛にも色を入れて行きます。
黒で一気に線を引く様な感じではせっかくの質感が台無しに。
細かい所ですが、じっくりと薄めの色で塗り重ねて行きます。

G104

画像4は魚の別角度。
小さいながらに存在感のあるアイテムなので、リアルに仕上げたい所です。
魚の詳しい事は全く知りませんが…。
ちなみに、こうしてベースや部分部分の箇所を塗って行く最中にでも、肌などの色味は随時追加修正してあります。
言われても、見直しても気付くものじゃあ有りませんけれど…(笑。こんなゴラム制作の作業の間には時たま映画ロード・オブ・ザ・リング1〜3までのサントラCDなどを流しつつ気分をいやがおうにも盛り上げたりもしているのでありました、とさ。


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2012年4月29日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その9

聞く所によると、世の中は今やGW真っただ中だそうで…(笑。そんな中だからこそ、模型!?な訳なのですが、ご家族の有る方はそちらもしっかりと大切にしてください。
と言う事ですが、ゴラムは相変わらず続いておりますです。
前回でベースの8割方は良い感じになってきましたが、オリジナルのややダルい系の岩肌のモールド感、を造形的な面に頼らずに、塗装で更にそれらしくして行きます。

G91

画像1、前回に加えての作業として、更に岩肌のハイライト部やシャドー部のコントラストを調整します。
どちらかと言うとヌメットした感じのモールドですが、ややごつごつな細かな岩肌をやり過ぎない程度で表現して行きます。
とは言え、劇中では禁断の泉のほとりの設定ですので、あくまでも違和感の出ない程度に、です。
意図的にモールドの無い部分に光や陰を描き込んで行きながら、イメージ的な岩肌を出して行けると良いのですが。
今回も部分的な一極集中ではなく、常に全体を眺めながら均衡の案配を調整します。

G92

画像2では更に細かな凹凸部の描き込み作業。
戦車等で使われるスクラッチ跡などのチッピングの表現にも似た感じでしょうか。
実際に傷を作るのではなく、描き込み作業でそれらしくみせる技、ですね。
以前の恐竜のスケルトンヘッドの時も同様の処理でして、情報量を盛り込みながら雰囲気を出すという事です。
自分の納得の行くまで、の作業になりますが、ハマってしまうと終わり所を見失ってやり過ぎる危険も有りますのでご注意を。

G93

画像3は元々のオリジナルの塗装状態、のアップ。
前回では画像が小さめでしたが今回のアップの物でどこまで解るかは疑問が残るものの、気持ちだけは伝わりますでしょうか?
オリジナル、造りも塗装もそんなに悪くないと思えてしまいますが(笑

G94

画像4は今回の画像2のアップ。
画像3と比べるとやはり全く変わっているのが解ります。やっていて良かった〜!と思える瞬間です、ね。
モールドには無い細かな凹凸表現が随所に追加されています。
生で見ても塗装なのかどうかはなかなか判断できませんので、やった分の効果は間違いなくあるのではないでしょうか?
腰布やポウチも更に塗り込まれていますので、オリジナルとは雰囲気が断然違って見える筈。
完成ももう間近、という感じになってまいりましたです〜!

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2012年4月22日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その8

前回で目元周りの塗装が終了いたしました。
今回はその間止まっていました全体のその他の部分です。
まずは腰布、そして右手で掴んでいる魚、そして足元のベース部分です。
この辺りまで来ますと有る程度同時にサクサクと進めた方が効率が上がるというものです。
しかもフィギュア自体の塗装がほぼ出来上がっていますので、全体で見渡しながらのバランスを取る意味でも、あちらこちらを一気に同時に進めちゃいましょ、って事です。

G81

画像1腰布も再度茶系で下地塗装。
おいおい古びた布らしく仕上げて行きます。
ベースは濃いめのグレーにて下地塗装、この段階では完全に黒でも良いのです。
今回のこのベースの場合には暗い色味から徐々に明るめの色味で立ち上げて行く手方をとった方が効果的だと思われるから、です。
当初のオリジナルではうるさいほどに鮮やかなコケ部分のグリーンにもダークグレーにてウォッシング的に処理、暗めに、彩度も落としておきます。
手にした魚は気持ち程度にブルー系で、薄めに処理。

G82

画像2下地の色よりもやや明るめのグレー、所々に色味の変化として赤やブルーなどの色味もランダムに配色します。
グレーは数回に分けて徐々に明るめにドライブラシの要領で立ち上げて行きます。
今の段階ではややコントラストがキツイ位でもかまいません、コケ部分も同様に処理して全体的に馴染ませて行きます。

G83

画像3前段階で強めに思えるコントラストはその後全体的に濃紺系のブルーでうっすらとフィルターを掛ける感じで処理。
コントラストが一段階落ち着いて行きます。
必要に応じて同様の処理を納得いくまで繰り返します。
更に明るめのベージュ系にて薄めに全体にドライブラシ。
更に必要に応じて各部所にランダムに色味の変化を描き込んで行きます。
ここまでで岩らしい感じが結構出てきました。
腰布もシャドー部やハイライトを数回に分けて塗って行きます。
魚は濃いめのブルーを薄めに数回塗り、ひれ部分との色味の変化も付けておきます。
パール系のエメラルドグリーンだった魚が青っぽくなり存在感が少し増した気がします。
個人差はありますが、この辺りで完成としても問題はないのかも。
私の場合はまだ細部の描き込みや色の調整が必要と判断、なのでまだまだ続く事に…。

G84

画像4は、左からオリジナル、画像1、画像2、一番右は画像3の背面からの岩の状態です。
並べてみるとその変化の程が判断しやすいですね。
やはりこうしてフラットな色味に色調の変化や細部の情報が増えてきますと、作品に厚みが出て来るのは、絵画の描き込みと通じる部分が多いのかもしれません。
プラスして行く作業は資料もさることながら作者の思考が大きく反映していると言えるのかもしれませんね。
ダヴィンチはその一生をかけてモナリザを描き続け、生涯完成には至らなかったと言います。
深いものが有りますです。

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2012年4月15日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その7

さてさて、春も一段と勢いが増してきましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
いよいよゴラムの塗装のキモ部分、目の塗装も最終段階です。
眼球自体は前回でほぼ完了しましたが、目となるとあとひと手間、と前回申しました。
眼球自体のクリア塗装の際に生じるその周辺(瞼)と隣接する部分のクリア塗料の回り込み(流れ込み)が原因で生じる境目付近の不自然なクリア塗膜の形成。
簡単に言うとコップに注いだ水の表面のガラスと接する部分の盛り上がり状態と同様な現象で、表面張力や界面張力的な物理のお話によって起こるもの。クリア表現の手法で有効ないくつかは以前にもお話ししましたが、まさに今回の現象の対処を考えた際に、手間はかかるもののアクリルクリアでの積層塗装が有効と思われる訳なのです。

G71

画像1の①はそんな現象によって出来た不自然なテカリや移り込み部分。
涙目に見える原因にもなります。その対処は実は至って簡単でして、気になる箇所にその近辺の色を塗ってトリミング処理をすれば解決です。
前置きが長い割に解決方は至って簡単なのですが…。

G72

画像2は瞼周りのトリミング処理を行った後の状態。画像サイズが小さいのでその差は解りにくいですが、光の具合によっても大きく変化する部分なので、この辺りは機会が有れば是非生で見ていただきたいものです。

G73

画像3はお約束(?)のアップ。目元が完成するとその他もググッと引き立って見えるから不思議です。
何かを訴えかけて来るかの様な目、見ている人を引き込む事が出来れば制作意欲も更に向上する事でしょう。
やはりフィギュアにおける目の重要性はとってもとっても重たい部分であるという事ですね。

G74

画像4は私の今までの作品の幾つかから目元を集めてみたものです。
モチーフやスケールが変われば当然その表現方法は変わるものの、作業の基本は同じです。これらもすべて今回のゴラム同様の作業で完成したものばかり。
上のどれもが映画絡みの物ばかりなんですが、すべてが解ったらかなりの映画マニア、かも〜!?(笑。
どれも毎回が悩んだあげくの仕上げなのですが、それぞれの個性、目元だけ見てもかなり出るものですよね。
同じ造形でも、塗装表現のみで感情までコントロールして表現できる、様に、なってみたいものです。精進有るのみ、ですね〜。

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2012年4月 8日 (日)

ゴラム(スメアゴル) その6

前回途中まで進みました眼球のクリア塗装、前回時点で10回ほどのクリアの重ね塗りでしたが、今回は更に10回ほどクリアを重ね塗りした状態でのご紹介です。
なんと言っても根気のいる作業ですので、焦らず気長に、が大切なのですが、他の物も何体かを同時に進行していれば、合間合間で出来る作業なのでさほど辛くはないかも、です。

G61

画像1はおなじみのアングルですが、画像サイズでは眼球の雰囲気はやはり伝わりにくいですよね?
既に20回は重ねたクリア処理のおかげで、塗るたびに眼球に元々有った凹部分がどんどん埋まって行き、今回では既に元々全てがフラットであったかのように全体がツルリンとしています。
がんばっていて良かった〜!と思う瞬間でもあります。

G62

このような凹部を残したままの造形自体の処理が珍しいのかもしれませんが、実は今回の目的は、造形自体に手をかけないという事よりも、瞳孔の凹状部分にクリアを埋め込んで行く作業によって、本来の人の眼球の構造に近い物として表現できる、という所だったのであります。
実際に、過去の海外のフィギュア作家の方の作例として、いくつか同様の処理をされている方がいらっしゃいました。
ビッグスケールでのお話では有りますが、わざわざフラットな眼球に塗装を施した後に瞳孔部をドリルで穴をあけ、透明レジンで埋めて行くという物でしたが、手法の違いは有っても、その目的は同じ物かと思いますです。
私はアクリルのクリアを使い、手間はかかりますが確実な透明感を実現したのではと思っています。

G63

画像3はかなりグロさが感じられるかもしれませんが、目元の角度違いのアップを並べてみました。
光源は同位置にしましたので、アイキャッチの感じで、全体がまんべんなくフラットになっているのがお解りいただければ良いのですが…。
当初と比べると、眼球のグロス感がしっとりとした実際の眼球に、少しは近づけたかと思います。
そして瞳孔部も単に塗装をしたとは思えない深みが出ています。
前回施した虹彩部のシルバー処理も、クリアに厚みが増した事によって、見る角度によっては不思議な光の反射をみせてくれます。

G64

多少荒い画像になりますが、眼球の更にアップを一枚。怖い絵ですね〜!(笑。今回で眼球の塗装はほぼ終了なのですが、目の塗装となるとこれまた更にひと手間かかります。
その辺りはまた次回にて。

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